木炭の温もりに溢れる
山の幸たっぷり─話題の竹炭も人気
第18回おいで木炭まつり開催

              東海新報=2004年11月2日)

 雨を蹴散らし、山の幸たっぷり満喫─
陸前高田市の秋を彩る恒例イベント「おいで木炭まつり」は31日、矢作町生出地区で開かれた。木炭ブームとあって木炭、木酢液などが売れ、話題の竹炭も人気を集めていた。
 木炭産業の復活を目指すまつりは、今年で十八回目。あいにくの雨の中、午前九時半から同地区コミュニティセンター前で開会式が行われた。
 佐々木英一コミュニティ推進協議会長が「生出に活力をつけようと始まったまつり。グリーンツーリズムを模索中で、ようやく光がみえてきた」などとあいさつ。来賓の鈴木政行収入役、黄川田徹衆院議員、阿部健大船渡地方振興局長が祝辞を述べた。
 会場には、紅葉と名水、木炭の温もりを求めて市内外から多くの来場者が詰めかけ生出の里は大賑わい。野菜が高値とあって、ハクサイや大根をまとめ買いする主婦も多く、山菜や漬物なども人気。
 良質の木炭が割安で購入できるとあって、バーベキュー用にと十五キロ入りの炭やケース入りの切り炭、土壌改良剤や脱臭剤として人気の竹炭、木酢液などが飛ぶように売れていた。
 大船渡市内の女性(65)は「消臭効果があり冷蔵庫に入れたり、生け花の装飾用に使ったりします」と、竹炭を何本も買い求めていた。
 イワナ、ヤマメの炭火焼コーナーはじめ、田舎おにぎり、いものこ汁の昼食サービスにも長い列。センター内では郷土芸能の生出神楽や餅まきも行われた。
 福祉コーナーでは生出小の児童が赤い羽相共同募金や新潟県中越地震被災地への募金活動も実施し、多くの人たちが協力した。
 一方、サブ会場となったホロタイの郷・炭の家では、食堂を開設し、松茸ごはんや手づくり豆腐に舌鼓。竹炭風呂の無料入浴体験も好評を博していた。




グリーンツーリズム推進へ
立教大と日本女子大 生出地区で研修

              東海新報=2004年9月3日)

立教大林業体験
日本女子大研修
日本女子大研修

 

 滞在型のグリーンツーリズム受け入れ態勢の準備を進めている陸前高田市に、9月3日から11日まで、都市部の大学生グループが相次いでグリーンツーリズム研修に訪れる。矢作町生出地区をフィールドに、地域の人たちとコミュニケーションを深めながら、地域づくりを学ぶ。
 同市では、新たな観光産業のひとつとして恵まれた自然や体験型施設を生かしたグリーンツーリズムの推進に力を入れている。
 生出地区では同地区コミュニティ推進協議会(佐々木英一会長)を中心に、受け入れ態勢を整備しながら、実践活動を展開している。
 グリーンツーリズム研修は、都市部大学生を受け入れ、住民との交流、作業体験を通じた地域づくり、地域活性化について意見交換することが目的。市が森林体験交流事業としてバックアップする。
 このうち、立教大学の林業体験事業は、2日から8日までの日程で実施。「夏季フィールドワーク体験学習」の一環で、昨夏に続き二回目。17人が参加する。
 3日は市役所を表敬訪問したあと、ホロタイの郷「炭の家」でいなか豆腐づくりや地域の人たちとの懇談会も。4日以降は炭窯づくりや下刈り、枝打ちなど林業体験、ホームステイ先で農作業手伝い、地元学講話(講師・河野和義さん)も聴講する。
 一方、日本女子大学の地域づくり研修(人間社会学部教育学科田中ゼミ)は、今回はじめて実施。9日から11日までの日程で、学生二十人が参加する。
 9日に「炭の家」到着後、佐々木会長や阿部健大船渡地方振興局長が、地域活性化への取り組みや地域振興の概況を説明する。10日は小学生、保育所、地域活性化の三グループごとに体験学習。11日は郷土料理づくり体験で、猪鼻ごはんや豆腐づくりも体験する。
 市では「健康で文化の薫る海浜・文化都市を標榜する当市においては、交流人口の増加を図るためにグリーンツーリズムなどの体験観光は目指すべき方向の一つ」と歓迎。今後も国や県の支援ソフトを活用するなど、受け入れ態勢の整備を進めていく方針だ。




天国のおじいちゃんへ
母校で捧げる『夏のソナタ』

生出小
故・佐藤忠吉さんの夢叶え
東京在住の孫ら祖父寄贈ピアノで演奏

                     東海新報=2004年8月12日)

 陸前高田市矢作町出身で東京都で建築業を営んでいた、故・佐藤忠吉さん(享年62)の家族が十日、佐藤さんの母校の生出小学校(皆川哲也校長、児童十三人)を訪問。佐藤さんはかつて同校に一台のグランドピアノを寄贈。「いつか故郷で孫たちに弾かせたい」という夢を持っていたといい、この日、家族は天国のおじいちゃんにピアノのメロディーを届けた。

 佐藤さんは同町に生まれ育ち、学校卒業後は建築業に従事。二十歳のころ上京、二十五歳で結婚を機に独立し、ビルやマンションの大型建築を手がけてきた。
 昭和五十八年四月、生出小学校新築の際、故郷の子どもたちのためにと記念品としてグランドピアノ一台を寄贈。当時の児童たちは「ピアノのおじちゃん」と、親しみを込めて呼んだという。
 平成十二年、胃ガンのため六十二歳でこの世を去る。同校では、佐藤さんが寄贈したピアノを音楽室に置き現在も大切に使い続けており、訃報を聞いた際には全校で黙とうを捧げた。
 東京都福生市に住む妻の千代恵さん(70)によると、「いつか故郷で孫のピアノを聴きたいと常々話していました。亡くなる三年前に半身不随の大ケガをしたのですが、田舎に孫を連れていくんだと、前向きにリハビリを続けていました」という。
 この夢を叶えようと、千代恵さん、同じく福生市在住の次女・萩森恵美さん(35)とその夫の総さん(37)、孫の美里さん(11)と建太くん(6)の五人が同日、学校を訪ねた。
 皆川校長らが五人を歓迎し、佐藤さんのピアノがある音楽室に案内。ピアノの横には「新築記念 昭和五十八年四月吉日 佐藤忠吉」と記されており、子どもたちから「おじいちゃんの名前があるよ」との声が上がった。
 このあと、五歳からピアノを習っているという美里さんが、佐藤さんの遺影を前にハイドンのソナタを披露。夏休みで子どもたちがいない静かな校舎にピアノの音が響き渡り、家族らは感慨深げに耳を傾けていた。
 美里さんは「おじいちゃんのふるさとに来たのは初めて。緑が多くてきれい。ピアノを聴いてもらえたと思う」、千代恵さんは「三回忌を終えたところですが、主人の夢を叶えることができました。天国で喜んでくれたと思います」と笑顔を見せていた。




生出道ゆったりと せせらぎと緑満喫

330人参加 『道の日』記念行事

                     東海新報=2004年8月11日)

 『道の日』記念行事として十日、「気仙歴史の道をあるいてみよう 清流と木炭の里・生出道」が、陸前高田市矢作町の生出地区で行われた。気仙地区から約三百三十人が参加。森の木々と涼やかな清流とのコントラストを楽しみながらゆったりと道をたどり、郷土の歴史にも理解を深めた。

 「道の日」は道路の意義と重要性に対する国民の関心、道路愛護精神を高めようとの目的。大正九年八月十日、日本で最初の道路整備長期計画「第一次道路改良計画」が実施されたのにちなみ制定された。八月は「道路をまもる月間」ともなっている。
 これに合わせ気仙では、平成五年から毎年、生活に欠かせない道路への関心を高めてもらうとともに、先人たちが往来した道をたどり郷土の歴史や文化にふれようとのネライで、歴史の道をたどる行事を企画している。
 今回は、十六年度「道の日」記念事業実行委員会(委員長・大船渡地方振興局土木部長)が主催、建設省三陸工事事務所大船渡維持出張所や振興局、気仙二市一町、県建設業協会大船渡支部が共催した。
 コースは、矢作中学校付近からホロタイの郷・炭の家までの生出道(県道世田米矢作線)約七キロ。同地区ではかつて木炭生産や養蚕が栄え、この日のコースは交易の道としても賑わったという。
 子どもからお年寄りまで総勢三百二十五人の一行は、午前十時ごろに出発。生出川に沿い、轟音をたてる白糸の滝や大滝・小滝の涼やかな光景、水量豊富で流れの緩やかな毒水(ぶすみず)や鉞渕(まさかりぶち)といった渕、点在する庚申塔や碑などを眺めながらゆったりと歩いた。
 この日は午前中から三〇度近い暑さで、道中、岩手の名水二十選に選定されている「清水の湧口」にも立ち寄った。汗だくの参加者たちは、こんこんと湧き出る冷たい水で喉の渇きを癒したりタオルを濡らしたりと、思い思いに涼をとった。
 二時間ほどかけてゴールの炭の家に到着。昼食をとったあと、炭焼き窯を見学するなど、江戸時代に最も盛んに行われていたという木炭づくりへの理解を深め、先人たちの暮らしぶりを偲んだ。
 大船渡市から参加した女性二人組は、「車では何度か通ったことがあるが、実際に歩くのは初めて。川がとてもきれいで安らぐ道。また歩いてみたい」と話していた。




「達磨ひえ」で活性化を

矢作町12区集落組合
休耕田での栽培開始

                     東海新報=2004年6月15日)

 国が農地保全に取り組む集落を補助する、「中山間地域等直接支払い制度」を導入している陸前高田市の矢作町第十二区集落組合(代表・菅野敏彦さん、組合員三十二人)は、今年度から地域内の休耕田を利用して雑穀「達磨(だるま)ひえ」の栽培を始めた。
 直接支払い制度は、集落での共同で行う農業生産活動などの取り組みに対して交付金を支払うもの。生産条件の厳しい中山間地域を対象としており、国土の保全や水源のかん養、増加傾向にある耕作放棄地の発生防止、景観形成など農地の多面的機能を確保するのがネライ。
 同組合では平成12年12月、水田13ヘクタール余を対象とした認定を受けた。交付金は約285万円で、草刈り機器15台と病虫害防除用の薬剤散布機2台、稲わら裁断カッター1台を購入。これらを利用した共同作業を繰り広げている。
 休耕田での達磨ひえの栽培も同制度を活用したもの。同制度で達磨ひえなど雑穀栽培を進め、耕作放棄地復旧や地域活性化に取り組む軽米町の長倉集落組合を昨年九月に視察。今年度総会で協議した結果、同組合でも実施することとし、大船渡農業改良普及センターを通じて苗を手に入れた。
 達磨ひえの栽培方法は水稲とほぼ同じで寒さに強いという。田植えは同町字沖、県職員・菅野啓さん方の水田12.6アールでこのほど行われ、機械植えのあと女性たちが手作業で丁寧に捕植。秋の収穫に期待を寄せながら作業に汗を流した。
 同組合では「田植えから1週間が経ったが、順調な活着ぶりを見せている。今回うまくいけば作付面積を広げ、活性化に役立てたい」としている。 (撮影:菅野征一郎)




夏日の原台山満喫

地元主催で初の山開き式
市教委主催のトレッキング会も行われる

                      東海新報=2004年6月1日)

 陸前高田市内最高峰の原台山(はらたいさん、標高894m)の山開き式は5月30日行われた。地元矢作町の生出地区コミュニティ推進協議会(佐々木英一会長)が初めて催したもので、シーズン中の安全を祈願。この日は日中の最高気温が今年最高の28度ちょうど(平年比7.9度高め)まで上がり、ハイカーたちは心地良い汗を流しながら原台山の自然を満喫した。
 北上山系南端の原台山は同市と大東町にまたがる。項上からは広田湾や太平洋を一望でき、かつては漁業者の信仰を集めていたという。近年では登山者は少なくなっていたが、数年前から地域住民らが登山道を整備。市のトレッキング教室の会場となるなど、ハイカーたちの人気を集めている。
 山開き式は午前九時から生出多目的集会センターで催され、地域住民や市内外のハイカーら約80人が出席。同町の天照御祖神社(佐々木美津子宮司)が神事を執り行い、シーズン中の安全を祈願した。
 佐々木会長は原台山にまつわる言い伝えを紹介し、「項上は360度の眺望があり、空気の澄んだ日には岩手山を見ることもできる。気軽に足を運んで楽しんでほしい」と呼びかけた。
 このあと、市教委主催のトレッキング会も合わせて催され、家族連れなど多くのハイカーたちが生出小学校そばから入山。夏日とあって、額に汗しながらツツジが咲き誇る登山道を登った。
 頂上付近では市が用意した豚汁に舌鼓。一大パノラマに感嘆の声を上げたり、周囲を散策したりと、思い思いに初夏の原台山を満喫していた。  (写真:原台山頂上付近より遠く太平洋(広田湾)を望む  撮影:菅野征一郎)




中山間地域で「モデル賞」

活性化の模範
陸前高田市矢作第13区集落が受賞

                     東海新報=2003年11月13日)

 県が全国に先駆けて創設した「岩手県中山間地域モデル賞」の15年度授与集落が決まった。このうち、気仙地区からは地域の活性化に模範的に取り組んでいる陸前高田市矢作町生出の矢作第十三区集落(鈴木博代表、24人)が選ばれた。11月15日(土)に盛岡市で表彰式が行われる。
 モデル賞は、国の中山間地域等直接支払制度の導入後、交付金を有効に活用した先駆的事例を紹介し他地域に波及させることを目的に昨年度に創設。審査会で選考された授与候補のうち、今年度は県下九地方振興局11協定集落が受賞した。
 気仙からは一カ所。矢作第十三区集落は、農業機械(消毒散噴器、畔塗り機、藁カッター)を購入し共同利用を進めるなど、生産性の向上に成果をあげている。また、自力施工により経費の節減に努めながら農道や水路の整備を行っている。
 さらに大豆加工のほか、ソバなど地域特産物の栽培などにも取り組んでいるほか、農家の田んぼを借りて市民農園や学童農園を設置し、サツマイモやダイコンづくりをするなど、地域活性化に成果をあげている。
 地元の活性化イベント「おいで木炭まつり」では、休耕田を活用して栽培した大豆を使って手づくり豆腐を提供したほか、地元中学生が総合的学習の一環で実施したソバ栽培に協力するなど、交流も深めている。
 鈴木代表は「受賞はこれからの共同作業の励みになります。名誉なことですが、これから忙しくなりそうです。今後は販売や加工などにも目を向け、ソバ切り大会なども考えたい」と話している。
 中山間地域等直接支払制度は、農業生産条件の悪い急傾斜農地などが対象地域で、協定に基づく集落などの取り組みに対して交付金を直接支払う制度。耕作放棄地が進む中山間地域などの農業生産維持と多面的機能を確保する目的で平成12年度にスタートした。
 制度導入四年目を迎え、集落では農地の高度利用や担い手の育成、適切な農地管理、景観づくりなどの面で着実に成果をあげている。昨年度は全県で千四百四十四集落が協定締結し、一万八千三百十九ヘクタールの農用地を対象に、約三十億七千五百万円が交付された。
 今年度の表彰式は、15日に盛岡市の都南文化会館(キャラホール)で行われる「元気いっぱい!いわて中山間フェア」の席上行われる。




ふるさと自慢で最優秀賞
生出地区のホームページ

                                          
東海新報=2003年10月24日)

 いわて農林水産振興協議会(会長・増田寛也知事)主催の「いわてe-農林水産グランプリ」で、陸前高田市の生出地区コミュニティ推進協議会(佐々木英一会長)のホームページ(http://www9.ocn.ne.jp/~oide/)が最優秀賞を受賞した。岩手の農林水産業への理解増進とIT化促進をネライに、県内各地から応募のあったウェブコンテンツを審査したもので、鮮やかな写真を織り交ぜながらの地域紹介が高く評価された。同協議会のほか、気仙からは三陸産の魚介類を直売している大船渡市の三陸とれたて市場(八木健一郎代表)のホームページ(http://sanriktuoretate.com/)も優秀賞を受賞した。

 コンクールには県内各地から四十六点(農業二十八、林業十一、水産業三、その他四)の応募があり、二回の審査の結果、最優秀賞一点、優秀賞五点が選ばれた。
 生出地区コミュニティ推進協議会は、市の公共施設となるホロタイの里「炭の家」を中心に地区を挙げて「木炭の里」づくりを展開。農村で休暇を過ごすグリーンツーリズムや泊まりがけの炭焼き体験ができる場として、県内外から足を運ぶ人も多い。
 最優秀賞に輝いたホームページは四年前に立ち上げた。生出地区について、アクセス方法、清水の湧口や閑董院などの見どころ、伝統芸能、木炭まつり、炭の家などについて区分けしながら、多彩な画像を織り交ぜて紹介。
 受賞について佐々木会長は「生出の循環型社会構築に向けた取り組みが高く評価され、喜んでいる。ホームページ作成、写真撮影など積極的に携わってくれている地域の『専門家』たちに感謝したい」と話している。
 一方、三陸とれたて市場は三陸町越喜来に本拠を置き、一昨年立ち上げたホームページを通じて三陸産の魚介類を直売。商品ととともに、水産関係を中心に地域の情報を提供している。
 八木代表が企画・設計、松本泰博さんが受注情報などを処理するプログラム開発、吉田友樹さんが文章やコンテンツを担当する完全オリジナル。「商品も、情報も妥協しない」が方針。水揚げ状況や現場での体験談なども盛り込み、毎日更新。関東や関西などから注文があり、リピーターも多い。
 サイトに対する評価を知りたいと、コンクールに応募した。八木代表は「評価されてうれしい。同時に、まだ完全に納得できるサイトになっていないので恥ずかしい面も。今後本格的な作り込みをしていきたい」と語っている。
 最優秀賞の生出地区コミュニティ推進協議会への伝達は、二十九日(水)に花巻市で開かれる「いわて農林水産躍進大会」席上、行われる。

 

 

Copyright (C) Oide community. All Rights Reserved.